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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第6章 豊橋先生


「別にいいさ。約束の時間に間に合ったし受付を済ませるか」

午後0時50分 柏市立病院
初が言うと全員が頷き院内に入り受付に向かった。
受付に豊橋先生の個室を教えてもらい向かうことにした。
「先生の部屋は~306号室・・・ん?」
「どうした、九条?」
拓実が急に立ち止まったので小悟狼は疑問を口にした。
拓実が指を指した方向を小悟狼が見た。
初と美希も後に続いた。
「ドアが開いていますね」
美希が言った通りドアが開いていて中の様子が丸分かりだった。
ベッドで寝ている豊橋先生が二人の人間に見舞いを受けていた。
「ここで立ち止まっても何の話にもならん。行くぞ」
小悟狼が先導し入室した。
入室すると病室にいた全員の視線が集まる。
「あぁ・・・君たちか。よく来た」
「お久しぶりです、先生。そちらの方々は?」
拓実が言うと豊橋先生は苦笑しながら口を開いた。
「ハハハ・・・君たちに会わせるのが初めてだったな。わしの家内の沙織と息子の輝だ」
沙織は豊橋先生と同い年であり、その様子は悲しみに打ちひしがれている。
輝は冷笑的な態度であり、今年で33歳になった。
豊橋先生から紹介を受け初たちは軽く挨拶を交わした。
「沙織、輝。ほんのちょっとの間、教え子たちとだけ話したいから、席を外してくれないか?」
「分かりましたわ、貴方」
「へいへい!」
沙織は涙を拭き、輝は気だるそうに椅子から立ち上がり席を外した。
豊橋先生は二人が出て行ってドアがちゃんと閉まったことを確かめると口を開いた。
「今日、君たちを呼んだのは昔話とお願いを聞いてもらいたいからだ」
「昔話とお願い?」
小悟狼が聞き返すと豊橋先生は頷いた。
「あれは40数年前・・・。わしが学生の時だ。友人同士で集まってオカルトの実験に関係していたことがあった。ほんの無邪気な好奇心からだった、今では酷く後悔している・・・」
「Curiosity killed the cat」
「日本語で頼む、初」
初が英語を話たので拓実には理解ができなかった。
拓実は学生の頃から英語が苦手だった。
「フッ、阿呆が・・・。好奇心は猫をも殺す、という意味だ」
小悟狼は呆れながらも拓実に説明した。
「土御門くんの言う通りだよ、興味本位とか好奇心で物事に触れるのは良くないな・・・」
豊橋先生が遠い目をしたので美希は悲しみの表情を浮かべた。
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