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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


「ゲホっ・・・ゴホっ・・・。ハァハァ・・・」
「初殿・・・大丈夫ですか?」
「まぁ、何とかな。で、手合わせの件だったよな?」
「はい!」
初は一呼吸を置き口を開いた。
「受けて立つよ。まぁ、オレの実力でディルを満足させられるかは微妙だけどな」
初は頭を掻きながら自嘲気味に言った。
ディルムッドは初の言葉に対し首を横に振った。
「いえ、そのようなことはありません。初殿のような、高潔なお方とお手合わせできるとは・・・このディルムッド、嬉しい限りです」
「「おっ、オレ(お兄ちゃん)が高潔!?」」
初と美希は、ハモって言った。
ディルムッドは真顔で頷いた。
初は美希をジト目で見て、美希は有り得ないと言わんばかりに、手を横に振っていた。
「美希・・・何だよ、その反応は?」
「いや、別に~」
「まぁ、いいか・・・」
「えっ!?いいの!!」
(やっぱり、お兄ちゃんは変わっているな~)
何だかんだで初の歓迎会は終了した。
初は自室に戻る前に隆と話をすることにした。
「父さん、少し聞きたいことがあるんだけど・・・」
「何だ?」
「式にオレを試すように言ったのは父さんでしょ?」
隆は微笑を浮かべ頷いた。
一方、初はため息をつき苦笑いを浮かべた。
「式って何者?」
「はっ!?」
隆は初の質問に驚いた。
文句の一つ二つを言われるかと思ったからである。
「オレに文句を言われると思った?どうせ、文句を言っても「それが、お前の実力だよ」って言うんだろう?」
「また随分と捻くれ具合が増したな~」
「オレの捻くれ具合は、いいんだよ。一生治ることないからな~。で、式って何者なの?人間だけど、サーヴァントに近い感じがするんだけどな」
「初はパラレルワールドを信じるか?」
「・・・」
初は隆が冗談でも言っていると思っていたが、隆の真剣な表情から信じることにした。
「あれだろ?オレたちが存在する次元を含めた物が幾つもあり、それが層みたいに重なり合っているって話だろ?平行世界と言った方が早いかな」
「随分と詳しく話すな~。しかもそれはパラレルワールドの定義じゃないのか?」
「具体例をだせばいいのか?帰り道友人に声をかけられ遊びに誘われた。それを受けるか受けないかで、中身が変わるって感じだな。辿り着く先は一緒なのにな・・・」
「それを初は信じるのか?」
「信じるよ。だって、妖怪が存在している世界だしな」
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