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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


「いや、全然迷惑じゃないよ。好きに呼んでくれて構わないよ」
初が言うとマシュは礼を述べながら頭を下げた。
初は礼儀正しい子だと思った。
「まぁ、オレのことよりも歩だ。マシュちゃんが居るということはマシュちゃんと関係があるのか?」
「はい。それと・・・できれば、ちゃん付けではなく呼び捨てでお願いできませんか?その・・・少しだけ恥ずかしいので・・・」
マシュが恥ずかしそうに言ったので初は自分の頭に手を当て謝った。
「じゃあ、マシュ・・・歩と君の身に何があったのか話してくれないか?」
マシュは頷き、これまでの経緯を話した。
生徒会で帰りが遅くなった時に妖怪に襲われたこと。
(歩って・・・生徒会に所属していたのか!?)
当然ながら歩は果敢に戦い勝ったと思った時に隙を突かれ、マシュが歩を庇い瀕死の重症を負ったこと。
マシュを助ける為、大量の魔力を譲渡し治療とサーヴァント化を行ったこと。
「そうだったのか・・・。辛いことを思い出させてしまって申し訳ない」
「気にしないで下さい。私よりも・・・歩先輩の方がもっと、辛いでしょうから・・・」
マシュは横たわる歩を見て言った。
その瞳は悲哀を浮かべていたが同時に覚悟を決めたようなものも浮かべていた。
「くどいかも知れないが、マシュは歩を恨んでいないか?君は歩によりサーヴァントになった。正しくはデミ・サーヴァントと呼ぶが。サーヴァントになった以上、非日常的な物事が沢山待っているが」
「恨んでいません」
その言葉と真剣な視線から初はマシュの覚悟を感じた。
「歩先輩は瀕死の私を・・・命懸けで助けてくれました。ですから、今度は私が歩先輩を助けます。それがサーヴァントとしての役目です!!」
初はマシュの言葉を聞き微笑を浮かべた。
そして、頭を掻きながら口を開いた。
「こいつは愚問だったな、失礼。それにしても、歩が羨ましいよ。こんな律儀な子がサーヴァントなんて・・・」
初の一言でマシュは頬を赤く染めた。
「マスター~。マスターには、この沖田さんが居るじゃないですか~」
沖田が初に泣きながら抱き着いてきた。
「泣きながら抱き着かないでよ、沖田さん。マシュが見ているじゃないか」
「私のことは、お気になさらず・・・。続きをどうぞ」
サーヴァントと言えど初には女性への耐性はあんまりない。
普通に話せるが、彼女が居ない初にとって抱き着かれるのは酷だった。
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