• テキストサイズ

Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


初は肩を下ろし自嘲気味に言った。
「老けても、初は初だな」
ネロは微笑み初は苦笑した。
しばらくして、初は思い出したかのように家族の側に歩み寄った。
「父さん、美希・・・。ただいま。その・・・心配をかけて、ごめん・・・」
初は頭を下げ謝った。
「幸せモンだな、お前は。帰りを待っていた家族やサーヴァントたちが居て。何度も同じことを言った気がするが、連絡はこまめにして、心配させるなよ?」
「そう・・・だったな。小さい頃から言われてたのに、どうして忘れていたんだろう・・・」
「当たり前を忘れる程大変だった、ということさ。家でゆっくり休め」
隆の言葉が初の心に響く。
いつの間にか初の頬は濡れていた。
小さい頃から、何かある度に隆の言葉を聞き涙を流していたのを思い出した。
父の言葉は偉大だと初は思った。
「お兄ちゃんお帰り~」
美希は微笑んで言った。
美希の笑顔と明るさは周りの暗い気持ちを消し飛ばしてくれる。
初自身も何度か、その笑顔に救われたことがある。
そして、今回も。
「ところで歩はどうした?休日だから家に居ると思ったが、遊びに出掛けた?」
初は歩がいないことに気づき当たり前のことを聞いた。
すると、隆と美希の表情が暗くなった。
初はその瞬間を見逃さなかった。
「あっ・・・歩は?」
「歩の部屋に行け。そこに真相がある」
隆の言葉を聞き終えた瞬間、初は急いで歩の部屋に向かった。
「歩!!」
初は大声を発しながら部屋に入った。
初の視界に飛び込んできたのは、横たわる歩と二人の女性だった。
最悪の事態を回避できたので、初は胸を撫で下ろした。
「マスター!?いつお戻りになられたのですか?」
「ついさっきだよ、沖田さん」
初に声を掛けてきたのは新撰組の最強の剣士である、沖田総司であった。
「お久しぶりです。って・・・そんなことよりも、本当に心配したんですから!!今度、甘いものでも奢ってもらいますからね」
「悪かった・・・。ところで、そちらは誰なんだ沖田さん?」
「こちらは、歩さんのご学友のマシュさんです」
沖田の紹介があり、マシュは頭を下げ挨拶をしてきた。
「初めまして、マシュ・キリエライトです。宜しくお願いしますね、初先輩」
「せっ、先輩?」
「はい。歩先輩のお兄様なので・・・。その迷・・・惑だったでしょうか?」
初はマシュが自分のことを、先輩と呼ぶので驚いた。
/ 105ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp