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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


「ほら、行くぜ」
背中を式に押され初は鳥居を潜った。
そして、石段を上った。
上りきると中庭に出た。
そこには、初を待っていた家族とサーヴァントたちがいた。
初は歩み寄ろうという気持ちがあったが、一歩を踏み出せなかった。
初の戸惑っているとサーヴァントの一人が歩み寄ってきた。
アルトリアである。
「お帰りなさい、初。貴方が帰ってくるのを信じていました」
アルトリアは微笑んで言った。
初も釣られ優しい笑みを浮かべ口を開いた。
「ただいま。その・・・何て言えばーーー」
「今は何も言う必要はありませんよ。話す気になった時に聞かせて頂ければ充分です」
「そう、か・・・。ありがと、ぐへっ・・・」
初の感謝の言葉は衝撃を受けた言葉になった。
背中をおもいっきり叩かれたのである。
当然、初は振り返る。
そこには、両手を頭の後ろで組みニコニコしているモードレッドがいた。
「おう、初!元気にしていたか~?」
「今ので元気が無くなった」
「まぁ、文句言えるだけの元気はある、という訳か~」
「ポジティブシンキングで何よりです・・・。モーさん」
初は呆れていた。
モードレッドは、そんな初を気にせずに話を続けた。
その内容の殆どがアルトリア絡みの話であった。
予想通り過ぎる結果に初は苦笑した。
初を気にせず話をしているモードレッドにアルトリアは呆れていた。
初が微笑ましい光景を眺めていると後ろから誰が抱き着いた。
「余を待たせるとは、初の馬鹿者・・・」
誰が抱き着いてきたのか一声で直ぐに分かった。
薔薇の皇帝、ネロである。
「申し訳ございません、皇帝陛下。寂しい思いをさせてしまいましたね」
初はわざとらしく敬語を使って話した。
「なっ・・・何を申すか、馬鹿者!!よっ・・・余は初が居なくて寂しいとは一時も思っておらぬからな!!」
口では強がっているが、初を抱きしめる力は少しだけ強くなった。
体は正直で初の読み通りで寂しかったようである。
「ネロ・・・ゴメン。空白の時間は取り戻せないから、これからの時間は楽しく過ごそう」
初はネロの手に、そっと自分の手を重ねた。
「うむ、ならば良し!」
ネロは元気に言うと初を抱きしめるのを止め、初の前に立った。
久しぶりに対面した。
「初・・・。そなた、少しだけ老けたか?」
「顔を会わせての最初の一言がそれか・・・。色々なことがあったから老けるだろうよ」
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