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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


「まぁ、灸の話は置いといて初の歓迎会でもするとしますか」
隆は席から立ち上がりながら言った。
「それには賛成だけど、歩はいいの?」
「いい。このタイミングで寝ている歩が悪い」
隆は少し不機嫌そうに言った。
美希は隆が不機嫌そうに言った訳を察して苦笑した。
二人は部屋から出てサーヴァントたちに初が帰って来ることを説明した。
すると、様々な反応を見せた。
「はしゃぎたくなるのは、大いに結構だが・・・初が帰って来るのは明日の朝だからな・・・。初を驚かせるためにも準備をしよう」
美希と隆はサーヴァントたちと、初の歓迎会の準備をした。

初は夜道を歩いていた。
今、夜道を歩いているのは朝に家である土御門神社に着くためである。
夜道を歩くなら、翌朝に交通機関を使えばいいと思うが初が使わないのは、のんびりと歩いて帰りたかったからである。
初が夜道を歩いていいると反対側から女性が歩いて来るのが見えた。
初は反射的に視線を地面に落とした。
疚しいことはなにもない。
ただ単純に、顔を見られたくなかったらからである。
黙って女性の横を通り過ぎようとした時、声を掛けられた。
この時までは視線を地面に落としていた。
「なぁ、あんたーーー」
「はい?」
「土御門 初だろ?」
初は驚き思わず顔を上げてしまった。
そして、女性の姿を見た。
「・・・」
初は絶句した。
それは女性の服装がとても個性的だったからである。
赤い革ジャンに藍色の着物、それにブーツ。
何とも奇妙なファッションだった。
「おい、何か言えよ。黙ってちゃ分からねぇだろう?」
話し方も特徴的だった。
男口調で話していた。
「すみません、失礼を承知で言わせてもらうと貴女の変わったファッションに目が行ってしまいました」
初が言うと自分は短くため息をつき、呆れた顔で言った。
「変わった格好と言えば、お前もだろう?全身黒づくめで第二ボタンまで開けていてグラサンも着けている。お前の方が変わったと言うか、もはや不審者だな」
「不審者・・・改めて言われると傷つきますね。まぁ、そんなことよりもオレに何か用ですか?オレの名前を知っていましたけど・・・」
初は話しかけてきた女性はファンの一人だと思った。
初が疑問を口にすると女性は思い出したように口を開いた。
「お前に直接恨みはないが、死んでくれ。その方が助かる、一部の人間がな・・・」

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