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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


しかし、言うことにした。
何も言わずに突然、兄が帰って来たら・・・それはそれで混乱が発生し余計に頭を抱えることになるからだ。
問題は何て話を切り出すか、だ。
家の中は混乱の渦中にある。
美希は美希で頭を抱え悩んでいた。
「どうかしましたか?美希さん」
美希は声を掛けられ振り返った。
そこには、ジャンヌダルクがいた。
そして柔らかな笑みを浮かべていた。
「え~と、その・・・」
「お困りでしたら、私で良ければ力になりますよ?」
ジャンヌダルクの親切な態度に対し美希は戸惑っていた。
「あっ、その・・・別に言いにくいことでしたら、無理に言わなくても大丈夫ですよ?」
ジャンヌダルクは慌てて詫びを入れた。
「別に言いにくいことじゃないよ、ジャンヌ。ただ・・・何て言えば言いのか迷っていたんだよ」
「そうだったのですね。勘違いをしてしまい、申し訳ありません。美希さんが迷っているなら私が相談に乗ります。きっと主もそれを望んでいると思います」
「ありがとう、ジャンヌ。落ち着いて聞いてね」
「はい」
美希が念を押せすように言った。
ジャンヌダルクも、それに応えるかのように力強く頷いた。
「実は・・・お兄ちゃんが帰って来るんだ・・・」
「帰って来るのですね、初さんが・・・。って、初さんが!?」
「しっー!ジャンヌ、声のボリューム下げて!」
美希が注意を促すとジャンヌダルクは慌てて口を閉じた。
そして、深呼吸をし再び口を開いた。
「それは確かなのですか?」
「確かだよ。お兄ちゃんの友人である九条さんから電話が掛かってきて・・・再会を楽しみなよ、と言われたんだよ。でも・・・」
「でも?」
ジャンヌダルクは美希の言葉を復唱するように聞き返した。
すると、美希はため息をつき重く口を開いた。
「今は再会を楽しんでいる余裕は無いでしょ?歩は寝込んでいるし、歩の後輩がサーヴァントになっちゃったでしょ・・・当然、父さんは頭を抱えている訳であって・・・そんな状況下でお兄ちゃんが帰って来る、って言ったら、さっきのジャンヌじゃないけど皆は驚き混乱するよね。言うことは決めているんだけど、どう切り出して良いのか分からないんだよね」
「なるほど、確かに美希さんの言う通りですね」
ジャンヌダルクは手を顎に置き考え始めた。
ジャンヌダルクが考えている間、美希は口を挟まなかった。
「やはり・・・」
「・・・?」
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