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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


「ほ~分かっているね~!」
「何年の付き合いだと思っているんだ?」
そんな他愛のない会話をして別れの挨拶をして通話を終わらせた。
拓実は初が元気を取り戻したようで安心した。
「さて、知らせるとしますかね・・・」
拓実は一息つくと、スマホではなく探偵事務所の電話を使い電話を掛けた。
しかし、呼び出し音だけで、いつになっても出る気配がなかった。
しかも留守電設定になっていなかった。
拓実が痺れを切らして受話器を置こうとした時だった。
「もっ、もしもし・・・つっ、土御門です!」
電話の相手は女性だった。
その一声から女性の正体と、どんな状況なのか、大体だが把握することができた。
「おっ・・・もしもし?九条探偵事務所ですけどって・・・もしかして、初の妹さんか?」
「そうです!妹の美希です」
「そうか、久しぶりだね。用件を伝える前に気になることがあるんだが、聞いても大丈夫?」
「私が答えられるものであれば、大丈夫ですよ」
「バタバタしていて忙しかったのかい?電話を長い間鳴らしていたんだが・・・」
「対応が遅れて申し訳ないです・・・。忙しかったのは説明するのが難しいのですが、歩が原因です」
「そうなんだ、詳細は聞かないことにしとくよ」
「それは助かります。ところで、九条さんの用件って何ですか?」
「聞いて驚かないでね・・・。初が見つかったよ」
「えっ~!?」
美希の声色が変わった。
動揺していることも声から分かった。
「落ち着いて・・・。今、初が向かっていると思うよ。忙しいと思うけど、再開を楽しんでね」
「えっ!?あっ、はい!」
美希の言葉を聞き拓実は電話を切った。
「ミッションコンプリート・・・」
拓実は満足気に微笑んでいた。

美希は困惑していた。
その原因は拓実の電話だった。
拓実の電話が直接の原因ではなく、その内容だった。
兄・初が戻ってくる。
四年ぶりに・・・。
嬉しいけど、別の感情も生まれた。
「お父さんに何て言えばいいかな・・・」
このことを伝えるべきだと美希は思っていた。
しかし、いつ伝えるべきか、タイミングにも困っていた。
歩が寝込んでいるのである。
自分の後輩を、一般市民をサーヴァント化しするために大量の魔力を譲渡したからである。
その時、隆は頭を抱えた。
恐らくだが、このことを伝えたら・・・再び頭を抱えることになるだろうと、美希は思っていた。
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