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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


「は~、マスターの決意は中々だねぇ。で、嬢ちゃんを助けるってどうするんだ?サーヴァントにするというのは分かるけどな・・・」
「本来であれば、サーヴァント化に成功してから治療を行うが・・・マシュは見ての通り瀕死だ。サーヴァント化する過程の上で命を落とすだろう。そこでだ、サーヴァント化をさせると同時に治療を行う」
「なっ・・・そんな馬鹿げたことできるのか?」
「賭けと言ったはずだ。普通ならできないな」
歩は神妙な表情をして言った。
賭けの要素はサーヴァント化と治療を同時に行うこと以外にもある。
それは多大な魔力を譲渡することである。
一般人をサーヴァント化するには、魔力を譲渡することが必須なのである。
魔力を持たない、正確には魔力を微量しか持っていない一般人に多大な魔力を譲渡すると拒否反応を起こすリスクもある。
そして一番重大なのは歩の魔力が枯渇しないかどうかである。
サーヴァント化に必要な魔力と治療に必要な魔力、どちらとも尋常ではない量を使用する。
下手をすればマシュだけではなく、歩も命を落とす危険もあった。
「ここで、マシュのサーヴァント化及び回復を行う」
「ここでかっ!?正気か、マスター?」
「正気だ、だが狂気の沙汰に近いのかも知れないな。ここで行うのはマシュは今、動かせる状態ではないからな」
歩は目を閉じ深呼吸した。
再び目を見開いた時には覚悟を決めた表情を、クー・フーリンは読み取れた。
そして、歩はゆっくりと口を開いた。
「これより、マシュのサーヴァント化及び回復を同時に行う・・・。クー・フーリン・・・」
「何だ?マスター」
「万一の時は頼む・・・」
「あぁ、任せときな」
クー・フーリンの言葉に対し歩は黙って頷いた。
そして向き直り、手を突き出した。
「土御門歩が告げる。聖者よ汝の血肉を彼の者に分け与え、彼の者を昇華させ給え。赤き民、魔と邂逅し逃げ惑い白き英雄が現る。汝が行く道は王道ではなく覇道になる。幾万の赤き民と魔の屍の上に白き英雄が唯一人。魔道に堕ちることも良しとせよ。白き英雄が倒れ屍が崩れ落ちる。魔道に堕ちる其れ乃ち輝きだす光なり」
一呼吸を置き手を振り上げ歩は叫んだ。
「万事は揺蕩う水が如く、水室第七章≪転身再起≫!!」
叫び終えると同時に五芒星は輝きだし、辺りを包み込んだ。
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