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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


歩は自分の未熟さを嘆いた。
「せっ・・・んぱ・・・い、てっ、・・・手を・・・握って・・・もら・・・って・・・いいで・・・しょうか?」
「あぁ・・・」
マシュは今にも消えそうな声で言い、手を伸ばしてきた。
歩は、それに応えるように優しく手を握った。
「ありが・・・とう・・・ご・・・ざいま・・・す」
マシュは満足そうな笑みを浮かべた。
(クー・フーリンが察したように、マシュは助からない・・・。回復させる陰陽術はあるが、サーヴァントではないマシュには・・・)
歩は思考を巡らせていた。
幼少の頃より隆から叩き込まれた陰陽術でマシュを回復させる方法を。
(・・・!?サーヴァントではない・・・つまり、マシュをサーヴァントにさせれば!!賭けだが・・・望みはある!!)
「急に黙り込んでどうした、マスター?嬢ちゃんが力を振り絞って話しているんだ―――」
「クー・フーリン!」
クー・フーリンの言葉を遮り歩は声を発した。
声量にクー・フーリンは驚いたが反応した。
「なんだ?」
「マシュを助ける方法を見つけた・・・」
歩の言葉にマシュとクー・フーリンは驚きを隠せなかった。
「たす・・・かるん・・・です・・・か?」
「可能性がある」
「おい、マスター。どうするつもりだ一体」
「マシュを・・・サーヴァントにする・・・」
「何だと?それはどういう意味だ」
「マシュをサーヴァントにすれば俺と繋がる。そうすれば、陰陽術で回復させることができる」
歩の発言に対しクー・フーリンの表情が険しくなる。
「それはお前の都合だろう、マスター?嬢ちゃんの都合を考えているのか?責任は取れるのか?」
サーヴァントにする、それは人間としての権利を奪うことに等しい。
普通に生活を送っていたマシュをサーヴァントにするのは酷過ぎる。
「あぁ、勿論だ。賭けだがな・・・」
その途端クー・フーリンは歩に掴み掛った。
「マスター、お前・・・責任取ることに自信満々に頷いたくせに賭けだと?嬢ちゃんの命を何だと思っているんだ?」
「一つの命さ」
「・・・」
クー・フーリンは黙って歩の話を聞いていた。
「俺は神じゃない、人間だ。人間が何でも完璧できると思うなよ。だから、賭けだ。だが、マシュの命だけだと釣り合わねぇ、だから俺の命も賭ける!」
二人は睨み合い、しばらく沈黙が続いた。
やがて、クー・フーリンがため息をして歩を放した。
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