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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


「できると思ってねぇさ・・・。だけど、な?」
「これは!?」
歩は不敵に笑うと鎌鼬を中心とした五芒星が出現した。
「お前が易々と避けた、水槍≪水蛇式≫さ。本来なら対象を攻撃するんだが、五芒星の陣を形成する時にも用いられる」
「くっ・・・くそが!」
「終わりだ、鎌鼬。水室≪五芒之陣≫・・・」
歩が低めの声で言うと鎌鼬は青白い光に包まれた。
水室≪五芒之陣≫は歩の説明の通り、水槍≪水蛇式≫で五芒星の陣を形成し、五芒星の陣内にいる対象を滅する。
光の中で数秒間、鎌鼬の叫び声が響き渡っていた。
叫び声が聞こえなくなると、歩は一安心しマシュに近づいた。
「怪我はないか、マシュ?」
「はい・・・。大丈夫です、歩先輩が守ってくれましたから」
マシュが微笑んでお礼を言った。
マシュの微笑みに歩は恥ずかしそうに苦笑した。
「そうか・・・。なら、帰ると―――」
歩の言葉は続かなかった。
マシュに押され尻餅をついた。
何故、マシュに押されたのか理解できなかった。
だが、歩が目にした光景が全てを物語っていた。
「マ・・・マシュ?」
「せ・・・んぱ・・・い、無事・・・で・・・すか?」
マシュの体には左肩から右腰にかけ、残酷にも綺麗な切り傷が残っていた。
「マシュ!!」
その場で倒れそうになるマシュの体を抱きかかえた。
「ふふ・・・ふふはははは!陰陽師、貴様は誰一人も守れちゃいないんだよ」
マシュに切り傷を負わせたのは鎌鼬だった。
「生きている、だと!?」
歩は目を丸くした。
嘘、だと思いたくなった。
マシュが斬られたこと、鎌鼬が生きていることが・・・。
「陰陽師、貴様が慢心した結果がこれだ!守れちゃいないし、俺を倒せ―――」
「うるせぇよ、死にぞこない」
鎌鼬の言葉が阻まれたと同時に別の男の声がした。
そして、鎌鼬の胸が男の朱槍によって貫かれ、鎌鼬は絶命した。
「クー・フーリン・・・」
その男はサーヴァントのクー・フーリンだった。
「騒がしいから来てみれば、こんなことになっていたとはな・・・」
クー・フーリンは歩とマシュの顔を交互に見た。
そして、何かを悟ったような目をして歩に言った。
「マスター・・・。覚悟を決めな、オレはそれ以上は何も言わねぇ・・・」
覚悟を決める、それはマシュの命の灯の火が消えそうであることを意味していた。
(くそたっれ・・・。俺が守るべき者に守られて・・・どうする)
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