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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


「当然の責務、か・・・」
「・・・?」
マシュが首を傾げる。
「なら、俺は陰陽師として責務を果たしますか・・・」
歩が一歩前に踏み出し言った。
「居るんだろう、妖?」
歩が言うと前方にある脇道から妖怪が飛び出してきた。
パッと見たところ鎌鼬の妖怪だ。
「今日は運がいい・・・。なんせ、獲物が二人もいるんだからよ~」
鎌鼬は両手に付いている鎌を叩き、音を鳴らしながら近づいてきた。
「あっ・・・歩先輩・・・」
マシュは不安そうな顔をして声を震わしていた。
歩はマシュの不安を取り除こうと微笑んだ。
「大丈夫だ。俺は陰陽師・・・。この世ならざるものたちを倒すのが役目だ。下がってろ、マシュ」
「はっ、はい!先輩・・・お気をつけて」
マシュが後ろに下がり様子を窺うように隠れた。
「別れの挨拶は済ませたか?陰陽師!」
「フン・・・。水槍≪水蛇式≫」
鎌鼬の言葉を耳にしないで攻撃をした。
水槍≪水蛇式≫とは水で作った槍で蛇のように動き攻撃する。
歩の不意打ちに鎌鼬は驚いた。
「不意打ちとは卑怯だぞ、陰陽師・・・」
「卑怯?妖のくせに妙なことを言うなよ、危うく笑うところだったぞ・・・」
「何?」
「お前たちは力を持たない人を襲っているではないか?これを卑怯を言わずに何と言う?俺の不意打ちなんて卑怯に当てはまらないよ!」
歩は言い終えた瞬間、再び水槍≪水蛇式≫を放った。
先ほどもそうだったが、水槍≪水蛇式≫は鎌鼬には当たらなかった。
「鎌鼬だけあって動きが速いな・・・」
「今度は・・・こちらいかせてもらう!」
鎌鼬は高速移動で歩に接近してきた。
歩は三度放つが鎌鼬は易々とかわし、歩の前で鎌を振りかざした。
「なっ・・・んだ・・・と」
「ふははは、ざまぁねぇな。口ばかりでよ」
「せっ・・・せん・・・ぱ・・・い?」
マシュは歩が鎌鼬に斬られやられてしまったのを目の当たりにして動けずにいた。
鎌鼬が歩の体から鎌を抜きマシュに近づこうとした時だった。
「・・・!?」
「俺に勝った夢はどうだった、鎌鼬?とてもいい気分だっただろう?でも、残念だ。夜明けの時間だ・・・水月≪水蛇式≫」
歩であろう物体は形を崩し水に戻り鎌鼬を拘束した。
水月≪水蛇式≫とは池に映る月のように実体のない物を本物のように見せ相手を欺き、攻撃した対象を拘束する。
「謀ったのか、陰陽師?だが・・・この程度の拘束など・・・」


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