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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第3章 春という季節


「隆に教えてもらったんだよ、探知をさせない陰陽術があるらしいぜ?」
「そうだったのか・・・アンタたち、サーヴァントがマスターを探知をさせない陰陽術があるのか。でもさ、それはサーヴァントの場合だけだろう?同じ陰陽師ならどうだ?サーヴァントがマスターを探知させない陰陽術だ。とても強力な陰陽術の筈だ。それなら探知でき―――」
「ねぇよ・・・」
拓実の言葉を遮って否定した。
その言葉を聞き拓実はため息をついた。
「考えてみなよ、探偵さん。それができていたら、ここに電話しねぇだろ?」
「それもそうか・・・」
拓実は苦笑した。
「んで、最終手段として・・・初のダチであり超一流の探偵さんに電話したって訳」
「分かった。さっきも言った通り依頼は引き受けますぜ。肝心な報酬だが・・・」
「おう、報酬ならたんまりと~」
「金はいらんよ。ただ、初と飲む機会を頂くよ」
「そんで良いのか・・・お宅?」
「あぁ。金は飲み代として奢ってもらうからな~」
「はは・・・抜け目がないねぇ~。敵に回したくないタイプだよ、お宅は」
「それはお互いさまだな」
「んじゃ、後は頼みましたぜ?」
「おう、頼まれました」
拓実がそう言い電話を切り受話器を置いた。
そして、さっき読んでいた週刊誌を続きから読み始めた。
途中から読んだので直ぐに読み終え拓実はスマートフォンを手に取った。
初とのやり取りの履歴を見ていた。
「日本に戻ってきて、メディアでバンド解散が騒がれるまで潜んでいて、騒がれた後は・・・俺にバンド解散のことだけを伝え家族には一報も入れずか・・・。取りあえず、初に連絡をくれ、と送っとくか・・・」

この日、歩はマシュと一緒に帰り道を歩いていた。
マシュは一人暮らしで家が土御門神社と同じ方角にあり一緒に帰ることにした。
その他にも理由があり、生徒会の仕事が長引き辺りが暗くなっていたこと、歩の仕事を最後まで手伝ってくれたこともあった。
「自分の仕事じゃねぇのに、遅くまで手伝ってくれてありがとうな、マシュ」
「いえ、お礼を言われる程ではありません。ただ、後輩として当然の責務を果たしただけです」
「そうか・・・。マシュは来年には重要なポストを任せられるかも知れないな」
「そっ、そんな・・・恐縮です」
歩が言うとマシュは頬を赤く染めて首を横に振った。
恥ずかしそうにしているマシュをよそに歩はボソッと呟いた。
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