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Fate/Fantasy Of Cthulhu

第2章 土御門一族


(親子というよりは姉妹だな~)
アルトリアとモードレッドのやり取りは、とても微笑ましい光景である。

「隆よ、お前の息子たちが帰ってきたようだ。直に夕食になるのではないのか?」
「そうか・・・」
隆は土御門神社の敷地にある道場で瞑想していたところを、カルナに声を掛けられ、目を開いた。
「何をしている?早く行かないのか」
「そうだな、行くとするか」
隆は道場の扉を開くと少し肌寒い風が入り込んだ。
冬が過ぎ春が来ようとしていた。
隆は道場から出て皆がいる居間に向かった。
カルナは道場に残ることにした。
隆が居間に入ると全員が揃っていた。
「親父、遅いぜ~。アルトリアが、大変だったんだぞ!」
「そうだ~!父上が―――」
「モードレッド!その先を言う必要はありません」
アルトリアはモードレッドが言い終える前に口を開いた。
アルトリアの言葉にモードレッドは不満そうだった。
「モードレッドの言葉を気にする必要はありませんよ。さぁ座って食べましょう、隆」
「そうだな、食べるか」
隆が座るとエミヤが料理を並べた。
並べられた料理は、どれも高級料亭でしか見られないほどの完璧さを持つ質である。
皆でお約束の「いただきます」の挨拶をし食事を始めた。
アルトリアは相変わらず凄い勢いでエミヤの料理を食べている。
「おや?どうした、歩。いつもならアルトリアに負けない勢いで食べているのに」
この日の歩の箸を動かすスピードが遅かった。
何故なら・・・。
「きっ・・・」
「き?」
エミヤが歩の言葉を復唱する。
「キノコがあるからだ!」
歩が言い切ると場が沈黙した。
隆がため息をつきながら口を開いた。
「歩のキノコ嫌いは相変わらずか~」
「ははは、だっせ~。歩、キノコ食えねぇの?」
「モードレッド、ダメだよ~。そんなこと言うと、ふふふ」
歩を馬鹿にするモードレッドを注意する美希だが、美希も笑っていた。
「俺は嫌いだから残しているんじゃない!恵まれない子どもたちに与えるために残しているんだ!」
歩の発言は更に場を沈黙させた。
その沈黙を破ったのはディルムッドである。
「あっ、歩殿!キノコが苦手でしたら、オレが頂きますが?」
「だ~か~ら!俺はキノコが苦手じゃねぇと言っているんだよ~」
歩は頑固であった。
あくまでも、キノコは嫌いでも苦手でもなく恵まれない子どもたちに与える物だと言い張る。

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