第10章 邂逅
家族には危害を加えさせない準備はできていた。
「藤田さん・・・誰かが入って行きました」
「よし。行け、沖田くん。万一の時は抜刀を許可する」
「承知」
小悟狼の言葉に頷き、沖田は霊体化し豊橋家に入っていた。数分後、侵入者の二人組は箱を持って外に出てきた。小悟狼は二人組の行先をしっかり見ていた。やがて、沖田も姿を現し小悟狼の下に戻ってきた。
「先生の家族は無事です」
「そうか。次は二人組を追うぞ。大丈夫か、沖田くん?」
「了解です。大丈夫ですよ、藤田さん。あっ、もしかしてマスターに色々と言われましたか?」
「ま、そんなところか・・・」
「全く~、マスターは心配しすぎです。私は新選組の一番隊組長ですよ。しかも三番隊組長の子孫も居るというのに・・・マスターは私のお母さんか!って話ですよ」
「それが、土御門の良いところだ。さて、追うぞ」
小悟狼と沖田は二人組を追った。
午後11時25分 松戸市 某所
二人組を追うこと十数分、森の中の洋館に辿り着いた。森の中では多くの妖怪と戦闘になったが二人は難なく倒してきた。
「こうして新選組と戦えると名誉なことだな・・・」
「こちらこそ。私も藤田さんと戦えて光栄です。前にも言いましたが生前を思い出します」
「そうか・・・。俺は後れを取ってないか?」
「取っていませんよ」
沖田は微笑んで言うと小悟狼も少し頬を緩めた。そして深呼吸をし洋館の扉に手をかけた。
「準備はいいかい、沖田くん?」
「えぇ、いつでもどうぞ」
沖田の言葉を聞くと小悟狼は頷き勢いよく扉を開けた。
「警・・・さ・・・つ―――」
「警察だ」と言おうとした小悟狼だったが言葉が続かなかった。洋館内に広がる光景に目を奪われたからである。それは沖田も同様だった。館内には妖怪や人の死体と血だまりがあった。そして館の主と思われる人物が白髪で白装束に身を包んでいる男に首を刈り取られていた。そして男は入ってきた小悟狼たちに気が付いたが襲ってくる感じはなかった。男は般若の仮面を着けていたため人相が分からなかった。
「何者だ、貴様・・・」
「・・・。白夜叉や死神と呼ばれている」
「何故、殺した?」
「そういう契約だからだ。だが、今回の場合は少し違う。この男は鮎川 稔を殺し一般人を操り土御門 美希に危害を加えた。それだけの理由だ」