第10章 邂逅
「あの二人はマスターとサーヴァントと言うよりは・・・」
「仲睦まじい姉と弟だな」
拓実と小悟狼は初と式を見てそう思うのであった。
午後2時 葬式場
初たちは葬式を終え外で待っていた。
「思った通りだ、やはり来たか」
小悟狼の視線の先には先生の息子である輝の姿があった。輝の表情は少し苛立っているように見えた。
「なぁ、あんた等・・・。親父が大切そうにしていた箱持っているよな?スタンドの横に置いてあったやつだ、返してもらおうか」
人に物を乞う態度ではない輝に対し拓実が苛立ちを覚えたが小悟狼が手で制した。初はただ式と一緒に黙っていた。
「返してやってもいいが・・・死ぬぞ?」
「はっ、脅せば諦めると思ってのか?こいつは返してもらうぞ」
輝がそういうと小悟狼の手から強引に箱を奪って戻っていた。
「これで、いいのかよ!藤・・・田?」
拓実は小悟狼に対し強く言い出したのはいいが、小悟狼の表情を見るなり勢いは弱くなった。その様子も見て変に感じた初と式も小悟狼の顔を覗き込んだ。小悟狼は不気味にニヤリと笑みを浮かべていた。
「オイオイ・・・初。お前の友達は相当の悪人面だな」
「藤田、民間人を巻き込むつもりなのか?」
「警告はした。余計な口出しは無用だ、土御門。安心しな、先生の息子は腐りきっているとはいえ人間だ。箱を狙っている奴から守ってやるよ・・・」
「そうか・・・」
小悟狼の言葉を聞き皆は安心した。
「そうだ、土御門」
「どうした?」
「今夜、沖田くんを貸せ。箱を狙っている奴らを一網打尽にする」
「別に構わないけど・・・。オレたちマスターではなくサーヴァントってどうしてなんだ?」
「それは秘密だ。が、戦果には期待していろ。9時過ぎにお前の家に向かい沖田くんを借りるからな」
小悟狼はそれだけを言うと帰っていった。
「藤田も帰ったし、俺たちも帰ろうとするか、初」
「そうだな」
そして初たちも帰ることにした。
午後11時 松戸市 豊橋家前
小悟狼は沖田と共に豊橋家から少し離れたところで10時頃から見張っていた。
「沖田くん、君は先生の家に誰かが入ったら霊体化し、動向を見てくれ。基本、手は出さないように」
「お任せを」
小悟狼は箱を奪いに誰かが侵入しても家族には危害を加えないと考えていた。万一何か起きても沖田がいる。