第10章 邂逅
「それから土御門は承知済みだと思うがサーヴァントを連れていけ。六人という数には引っ掛からないだろう」
「了解した」
初は力強く頷いた。それと同時に頭の中で誰を連れていくかを整理した。魔術(土御門家の場合は陰陽術)の関係上、同時に指示を出せるのは一人につき五人までであるが、その分負担がかなりかかる。誰が、どのサーヴァントを連れていくか、効率よく配置する必要があった。初が考えている間、小悟狼はタバコを吸い、拓実は手帳にメモを書いていた。
「おい、そろそろ始まるぞ?」
三人は声をかけられ振り向いた。そこには初が連れてきた式がいた。式は三人に声をかけ終わると中に入っていった。小悟狼と拓実は初対面で分からなかったのか首を傾げていた。
「あの女は誰だ、土御門?サーヴァントなのか?」
「名前は両儀 式。サーヴァントだが正確に言うなら疑似サーヴァントだな」
「疑似サーヴァント?」
「オレたちと変わらない人間だけど、戦闘力はサーヴァントに匹敵する。だから疑似サーヴァントさ」
小悟狼と拓実は初の説明をとても興味深そうに聞いていた。
「疑似サーヴァントってことは初が召喚した訳じゃないよな、人間って言ってたし」
「その通り、召喚した訳じゃない。信じ難い話になるがパラレルワールドから来た可能性があるらしい」
「パラレルワールドか~。信じ難いって言っているけど俺は信じてるぜ。なっ藤田?」
「普段なら阿呆と笑い飛ばしているところだが、信じる以外あるまい。さて、そろそろ行くぞ土御門。さっきから物凄い形相でこちらを睨んでいる奴がいるからな」
小悟狼が呆れ気味言った。初が気になり振り向くと、小悟狼の言った通り式が睨んでいた。初は慌てて駆け寄った。小悟狼と拓実も初の後に続き中に入った。
「ごめん、式。つい話に夢中になってしまって・・・」
「へぇ~。それでオレをほったらかしか~。折角親切に呼んでやったというのにな」
式の正論に初は何とも言い返せなかった。式はため息をつくと口を開いた。
「はぁ、この話は終わりだ。お互い気分のいい物じゃないしな。お前も謝ったしな。許してやるから、そう落ち込んだ顔するなよ」
「あぁ、ありがとう」
「まぁ、その代わり帰りにファミマな・・・」
式はニヤリと笑い言った。初は苦笑しながらも頷いた。
「なぁ、藤田・・・」
「何だ、九条?」