第3章 長年片想い
「…はっ…う、うん。」
声が少し上ずる。
呼吸の仕方がわからない。
顔が熱い。
ゆうは目を見開いた。
それと同時に顔を赤くした。
「ゆ、ゆうが聞いたのに何赤くなってんの?!」
いてもたってもいられなくなり、いつも通り接する感じで話しかける。
「だって…そんな長い期間思ってくれていたのがうれしくて…」
かなのほおが、顔がさらに赤くなる。
『うれしくて』
その言葉。
「………うれしい?」
確認するように口にした。
嬉しすぎて涙がこぼれる。
「…?!えっ?!なんで?!」
その涙に戸惑うゆう。
「…だっ、て嬉しいって、…言ってくれたから」
それを、ほんの数秒見つめていたゆうが…
「かな」
今度は名前を呼ばれる。
涙で濡れた顔を上げる。
「好きだよ」
さらにあふれる涙。
嗚咽が止まらない。
そのままゆうに抱きしめられた。
かなは、長い間、ゆうの腕の中で泣いた。