第2章 桜の木が恋をした。
「さくら〜!電車遅れるよ!?」
「はーいっ!」
「もう!大学初日から遅刻とか嫌なんだけど?!」
「あー、もう!本当にごめんってば!」
「そんなこと言ってないで!早く…うわっ、さくら、ぶつかる!」
ドンッ。
友達が叫んだのと同時に、さくらは地面に倒れた。
「ご、ごめんなさい!」
ぶつかった相手に対して、さくらは謝る。
「大丈夫ですよ」
優しそうな男の人の声。
顔を上げて彼の顔を見た時だった。
彼の綺麗なさくら色の目…。
「さくら…の、木…。」
「…???は、はい?」
「あぁっ!!ご、ごめんなさい!なんか…昔好きだった人に似てて…。」
「…そうですか…変ですね」
そう彼は言って微笑む。
そして、彼は話し始めた。
「僕も…夢に出てくる好きな人があなたに似ていますよ。…名前は確か……”さくら”って言ったかな。」