【R18 ハイキュー!!】幼なじみ 赤葦京治との場合
第1章 幼なじみは他人のはじまり
でも、この顔を見ると気持ちにブレーキがかかる。
私は、京治を困らせちゃいけない。
でも、それでも……
「京治は……どうしたらいいと思う?」
私の気持ち、気づいてるよね。
「俺に訊いたってしょうがないだろ」
「……じゃあ、京治は、どうして欲しい?」
教えてよ、京治の気持ち。
「俺は関係ないだろ……俺は、ただ木兎さんに頼まれただけだから」
ためらいのない拒絶。
「返事は木兎さんに直接してあげて。できればなるべく早く。あの人こういうことはビビリだから待たせるとヘタレ入って結構面倒くさいし」
「よく知ってるね、木兎先輩のこと」
「まあ、ほぼ毎日一緒にいるから」
肩をすくめた京治が木兎さんの方を見る。
慌てたようにツンと髪が尖った頭が扉の陰に引っ込んで、またすぐにそっと窺うように顔を出す。
数えるほどしかしゃべったことがない先輩。
私は、木兎先輩のこと、よく知らない。
もちろん……好きだとも思わない。
「……好きじゃないのに、付き合ってもいいものなの……かな」
「付き合ってるうちに好きになるのもアリだと思うけど」
「………」
やっぱりダメだ。
京治は絶対に知らないふりをする。
徹底的に私の気持ちを無視する。
優しいから。
……でもその優しさが、私を傷つける。
去年の夏。
高校に入って初めての夏。
……あの時から、京治は変わった。
勝手に一人で変わってしまった。
私はそんなこと、望んでなかったのに。
私たち、幼なじみだったのに。
家族以外で、一番近い人だったのに……