第24章 徒然なる日々なれど
――――――
一方、家を飛び出した天音と銀時は少し歩き川沿いまで来ていた。二人は芝生の上に腰を下ろし、淡々と流れる川の流れを見て黄昏ていた。
銀時「出て来たのはいいけど、やっぱりまだ寒ィな。」
『そうですね、春が待ち遠しいです。』
銀時「お前がここに来たのはもう春なんざ終わってたもんな。」
天音がここへ来てもうすぐで一年が経とうとしている。早かったような遅かったような、そんな事を考えながら今までの思い出を思い出し天音は川を見つめながら微笑み心中を語った。
『そうですね、まだ春の思い出はここには無いですから。春になって桜が咲いて、そしたらまた、私の思い出一緒に作って下さいね。』
銀時「んな事言われなくても作ってやるさ。これからの季節もその先もずっとな。」
天音は銀時の返答に胸が高鳴り、またこれから訪れるこの世界での未知の出来事を待ち遠しく感じた。そんな天音の横で銀時は立ち上がり身体を思い切り伸ばした後、天音の方へ片手を差し出した。
銀時「引っ張ってきといて何だが風邪引かれても困るし、帰ろうぜ。」
『その言葉、そっくりそのまま返しますよ。』
銀時「そんときゃ看病してもらうからいいの〜。」
天音は銀時の手を取り、そのまま二人は手を繋ぎながら万事屋へと帰るため来た道を戻る。その途中、前方に見えてくる見慣れた集団が目に入る。その集団を捉えた途端銀時は眉間に皺を寄せ、天音はあっと声を上げた。そしてその声に気付き数人が振り返る。