第23章 この想いをあなたに
そこで銀時はふと気付く。天音の焦点が合っていないことに。銀時はオーイと目の前で手をひらひらと動かすが、瞬きもせず、視点の定まらない所を見ていた。
銀時「大丈夫ですかー?おーい?天音ちゃーん?」
銀時がそう声を掛けた次の瞬間、フラフラと銀時の胸へ流れるようにもたれかかった。銀時は驚き天音を身体から離して見てみれば、正に目がぐるぐると回ったように気を失っていた。予想外の出来事に銀時は焦ったが、やれやれと気絶している天音を抱き抱え布団へと運び、銀時も同じ布団へと入った。
銀時「ちゅーしただけで気絶とか、初めてだっつの…。」
土方との時もそうだったのかと一瞬嫉妬心が芽生えるが、すぐに考えるのは辞めた。今まで見てきた女の中で天音様な女等見た事は無く、若干先が思いやられる銀時だった。
銀時「もうどうやって扱えばいいか分かんないんだけど。」
そう言いながら銀時は天音の頬を自身の人差し指でツンツンと啄く。気絶から眠りに着いた天音は啄かれながら薄らと笑顔が浮かぶ。
銀時「何笑ってんだコノヤロー。」
銀時はフッと笑い眠る天音の唇にもう一度自分の唇で覆った。唇を離ししばらく天音の寝顔を見つめていたが、突然目を逸らし布団を被り横になる。このままではもう歯止めが効かなくなってしまうと思った銀時は、そうなる前に眠る事にした。
『……ん…ぎん さん…。』
銀時「おやすみ、天音。」