第23章 この想いをあなたに
しばらく抱き合ったままで二人はこの状況に身を任せていた。数分経ち、どちらからとも無く身体をゆっくり離しお互い目を合せて笑う。
そして銀時は得意気にニヤリと笑った。
銀時「という訳で無事俺の彼女になった訳だし?いいよね?」
『何がですか?』
銀時「またまた〜冗談はよせって。」
そう言って銀時は急に真剣な顔になり天音の顔との距離を縮めた。突然の出来事に天音は心の準備が整っておらず、おどおどし始める。そんな天音の頭を片手でおさえ、腰に回した手をグイッと自分の方へと引き寄せた。
『ちょっぎっ、銀さんままま待ってくださいっ、』
銀時「今まで十分待ったっつーの。もう限界です。」
終始じたばたする天音の抵抗も虚しく、銀時は止まろうとせず目の前にまで迫った。天音の瞳は緊張と恥ずかしさから涙を含み潤っていた。だがそんな表情もただ銀時を煽るだけで、ゆっくりと近づく顔は止まらない。天音にとってその時間はとてつもなく長く感じ、唇が触れそうになった時点でギュッと目を瞑った。
銀時「……もう何処にも行かせねぇ、好きだ。」
『……っ!!』
触れるくらいのキス。それ以上もそれ以下もなく、唇が離れると二人の視線が交差した。
銀時「ぶはっ…お前ちゅーする時くらい目潰れっての。」
『〜〜〜っっ!!』
天音は唇が触れる直前の銀時の言葉に思わず目を見開いてしまい、とてもじゃないが穏やかに出来たものでは無かった。既に天音の顔は真っ赤に覆われており、言葉を話せる余裕など無かった。