第23章 この想いをあなたに
『……銀さん、大好きです。』
言ってしまった。とうとう言ってしまった。
自分で言うと決めておいて、いざ言ってしまった後にはもう後戻りは出来ない後悔と恥ずかしさが込み上げギュッと目を瞑る。しかも“好きです”じゃなくて“大好きです”って何よ。どれだけ抑制が効いていないのかと渋々自分の感情が怖くなる。
銀時「……………………。」
銀さんは黙ったままで何も言わない。何とも心地の悪い沈黙が流れ、その空気が私の心を不安にさせて行く。何でもいいから何か言葉を発してくれ、そう願った矢先だった。銀さんは私に回していた腕を離し、酔っ払いとは思えない程にスタスタと何処かへ行ってしまった。そして何やら台所の方から鈍い音が響く。
『ちょっと銀さん何やってるんですか!?』
銀時「へっ!?あっ、いや、俺酔っ払ってるから、なんか幻聴聞こえ出してヤバイかな〜なんて…」
その音の原因を突き止めるべく台所に向かい銀さんに声をかけると、銀さんの額から大量の血が垂れていた。その血は冷蔵庫にも付着していて、どうやら銀さんは冷蔵庫に頭を打ち付けていたみたいだ。そしてその音こそがさっきの鈍い音の原因だと分かった。
『銀さん、幻聴なんかじゃないです。私ちゃんと言っ…』
銀時「……マジでか。現実か?マジでか…夢じゃねェよな?」
話している最中に再び私は再び銀さんの腕の中にすっぽり身を収められた。その最中に話す銀さんの声は、酒のせいか、それとも私のせいなのか分からないけど、今にも消えそうな声だった。
『夢じゃないです。私、銀さんの事前から好きでした。でもずっと伝える事が出来なくて…ごめんなさい。』
銀時「何で謝んだよ。…あー、俺今幸せ過ぎて死にそう。」
私より遥かに背の高い銀さんは背中を曲げて私を抱き締めていた。私もそんな銀さんに腕を回そうと必死に背中に手を回した。