第23章 この想いをあなたに
『土方さん、あの時は本当にありがとうございます。』
土方「俺ァ何もしてねェだろ。」
『あの時土方さんの言葉が無かったらきっと私今頃三途の川渡ってましたよ。』
私が冗談ぽく笑ってそう言うと土方さんはフッと笑って私の頭をポンポンと軽く叩いた。その背後で沖田さんが悪戯に笑っているなんて事、土方さんはきっと知らないだろうけれど。
土方「とにかく助かって良かった。しばらく無理はすんなよ。」
『はい、土方さんも。』
そうやってお互いに笑っていれば、私の後ろから物凄くよからぬ気配が漂う。振り返ってみればその正体は銀さんだった。もう一度土方さんを見てみればそんな銀さんを見て不愉快そうな表情を浮かべていた。そんな状況を見ていれば私の腕は銀さんに引かれ、土方さんとの距離を大幅に広めた。
銀時「ひじかたくぅーん?まさかあんな事言っといて今更前言撤回なんて事ァねェよなァ?」
土方「はァ?誰もそんな事言ってねェだろ。失せろ嫉妬の塊。」
銀時「んだとコラァァ!!」
二人の会話は私にとってはもう何のこっちゃか分からない。いつもの様に始まる喧嘩を見て、前までの私なら怒ってただろうけど、今はもうそんな感情なんて無い。きっと私には分からないだけで、この二人はこの二人なりにこれが一番合っているんだろうと私は思った。
退院祝いという宴は夜まで続き、時間が遅くなるにつれ徐々にみんな帰って行った。何故か神楽ちゃんは新八君の家に泊まると言い、定春を連れて行ってしまった。