第22章 夢と現実
そして銀時はその不安を取り除くため、理由を探るべく土方に訊ねた。
銀時「振られた理由、何て言われたわけ?」
土方「……は?」
銀時「は?って何?振られたからには何かしらの理由があって振られたんだろ?」
土方「振られた振られたうるせェ!お前まで俺の心の傷抉るつもりか!」
土方は容赦なく突っ込んで来る銀時に少しばかり怒る。それから怠そうにため息を付き街並みを眺めながら静かに口を開く。
土方「……理由なら何も言われてねぇよ。」
銀時「はぁ?嘘付け。絶対何かしら言われてんだろ!」
土方「言われてねぇっつーの!」
銀時「はぁ…意味わかんねー。じゃあ何で俺に幸せにしてやってくれとか頼むわけ?」
土方はそこまで行って何故分からないのかと呆れ返り再びため息を零す。銀時は理解出来ず不貞腐れ柵に肘を立て、片足は貧乏揺すりが始まった。土方は悔しい思いで溢れていたが、自分がとやかく言う事でも無いと、それから何も語ろうとはしなかったが、これだけは伝えたいと言う事があった。
土方「アイツを守れんのはお前だけだからだよ。…ただ、」
銀時「……なんだよ。」
土方「アイツを泣かせる事があればその時は俺も容赦しねぇ。」
銀時「……。ふっ、泣かせてたまるかってんだよ。」
二人はそう言って静かに笑った。土方は見舞いも済ませ、銀時に伝えたかった事も無事伝え終わり満足したのか、まだ病院に来て間もなかったが黙ってその場を去っていった。銀時はその姿を見ようと振り返る事は無く、視線は街並みから空へと移りしばらく眺めた後、天音の病室へと戻って行った。