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【 銀魂 】徒然なる日々なれど…

第22章 夢と現実




銀時は屋上の柵に腕を掛け、目の前に広がる街並みをただぼーっと眺めていた。そしてふと懐に手を入れ、取り出したものは天音が作ったケーキだった。一度家に帰った銀時は冷蔵庫に入れておいたケーキを持ち出しており、今それを食べようとしていた。

箱に巻かれたリボンを丁寧に取り、蓋を開ければ丁度いい大きさのガトーショコラがあった。銀時がケーキを手に取り、それを口に持っていこうとした時だった。


土方「よぉ。参っちまってるんだって?」


銀時「…お前、何でこんなところに?仕事はいいのかよ。」


土方「近藤さんたちが行け行けうるせぇから有給使って来たんだよ。」


突如背後から聞こえた土方の声に驚き、ケーキを口に含む前に後ろを振り返った。土方は煙草を加え火を付け、そのまま銀時と同じく柵に腕を掛け前を見据えた後、ふと視界に入った銀時の持つケーキへと視線を移した。


土方「何だそれ?こんな状況でも糖分は欠かねぇんだな。」


銀時「ちげぇよ。こりゃあれだ、バレンタインだよバレンタイン。」


土方「アイツから貰ったのか?」


銀時「あぁ。直接貰った訳じゃねぇけどな。」


土方は銀時の持つケーキを見て心中羨ましくて仕方が無かったが、それは口にも顔にも出さず、再び視線は街へと向かった。それからどちらから話す訳でも無くしばらく沈黙が続き、銀時は手に持ったケーキを口に含んだ。それはすぐに無くなり、いろんな感情を含めた虚しさだけが残った。


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