第21章 それぞれが負う傷
爆発で飛ばされたうちの一人がヨロヨロと立ち上がり剣を握っていた。銀時達はそれに気付かず、それを上から見ていた天音が気付いた。
河上「ッッ!?主、何をするでござる!」
天音は自分の首に回されていた手の一部をこれでもかと言うほどに噛み付き、河上は微かな痛みと驚きで腕を離してしまった。そして自由の身となった天音は全速力で走り階段を駆け下りる。
また子「いくら女だからって晋助様の惚れた女……逃がさないっス!!」
逃げる天音を打とうと銃を構え狙いを定めた時、それを上から抑え阻止したのは高杉だった。また子は驚き、放っておいていいんスか!と高杉を煽るも、高杉は打っていいと言わなかった。
高杉「いつでもこの手にしてやるさ。面倒なのは嫌いだ、ずらかるぞ。」
高杉の言葉にこれ以上誰も逆らえず、河上と武市はそれに黙って着いていくが、また子だけは悔しそうな顔をしてその後を着いてった。
天音は階段を降り終え、未だ気付かない銀時に必死に声を上げていた。
『銀さん!!危ないっ!!!』
天音が声を出した時既に浪士は刀を振り上げており、天音の声を聞いて振り返った銀時は目を見開いて愕然とした。
「死ねぇぇぇぇぇぇ!!!!」
銀時「馬鹿野郎!来ちゃダメだ!!」
『銀さん!!!』
新八「…………!!!」
神楽「…………!!!」
その時起こった状況を目にした銀時達の身体は固まり、声を出す事が出来なかった。天音は銀時を護るため、前から抱きつくような形で刀から庇い、浪士は天音の肩から腰あたりにかけて斬りつけていた。あまりの絶望的な出来事に銀時は一切動けず、天音を斬った浪士は神楽が傘で打倒した。