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【 銀魂 】徒然なる日々なれど…

第21章 それぞれが負う傷




銀時は未だ自分に抱きつく天音をゆっくり見下ろし、瞬きもせず見ていた。新八と神楽が天音の元へ集まり必死に声を掛けた。


銀時「嘘…だろ…?」


銀時の身体に回された腕の力は次第に弱くなり、ずり落ちそうになる所を銀時は震える手で支え、天音の頭と腰を持ち横にして自分も屈み、銀時と並び新八と神楽も屈む。まだ意識があるのか天音の目は微かに開いており、額からは大量の汗が吹き出ていた。


神楽「天音ちゃん!しっかりするネ!!」


新八「天音さん!!!」


銀時「おい…ふざけんなよ…死んだら許さねぇぞ…!」


三人の声は天音にハッキリと届いており、今出来る必死の笑顔で途切れ途切れでも言葉を発した。


『縁起でも、無いこと…言わない、で、くださ…い。私が死んだら…その傷、手当てする…人、居ないんでしょう…?』


天音は残っている力を振り絞り、銀時の頭の傷へと手を伸ばした。神楽と新八の頬には溢れ出た涙が伝っていた。だが銀時の頭に触れていた手は地面へと垂れ、天音は意識を手放してしまった。


銀時「…おい!!目を開けろ!!天音!!!」


土方「おい、ここはもういい。天音を早く病院へ連れていけ。」


銀時達が必死に天音に声を掛けている途中、早くもここへ到達した土方や沖田、数十人の隊士達が居た。浪士達にも負けない数で突入した新撰組は押されること無く浪士達を倒していた。銀時は込み上げる怒りを抑え、今はその怒りを晴らすよりも天音の事を優先しなければと思い土方達にその場を任せ病院へ向かった。


銀時「…すまねぇ。必ず仮は返す。」


病院へと向かう間既に返り血で滲んだ服は、天音の傷口から出る血により、更に赤く滲んでいった。


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