第21章 それぞれが負う傷
天音の目に映る銀時の姿は、返り血に染まり鬼の様、天音はそう呼ばれる真意は知らないものの、それは正に白夜叉と謳われる姿だった。だがそんな姿に怖がる事はなく、僅かながら負っている傷を心配した。
新八「銀さん!天音さんがあそこに!!」
銀時「!!…チッ、あと少しだってぇのに…っ!!」
神楽「銀ちゃんは上に向かうヨロシ!ここは私達に任せるアル!!」
銀時「んな事言っても…こんだけ湧いてこられちゃあ、行けるもんも行けねぇ!」
銀時は襲いかかってくる敵を打破しながら神楽に返答をする。最上階へと繋がる階段には程遠く、そこへ向かうには未だに溢れかえる浪士達を倒さなければ、とてもじゃないが到達など出来なかった。徐々に減る体力と動き回っている事で、僅かな傷口から出る血により銀時の動きは次第に鈍くなっていく。下の階で起こっている状況をただ見ていることしか出来ない天音は河上の腕を解こうと必死に暴れていた。
『離してっ!!銀さん!!新八君神楽ちゃん!!!』
河上「離した所で主はどうする?アイツらと共に戦うとでも言うのでござるか?」
『っ!…それは…。』
河上にそう言われ自分の無力さを改めて思い知り、自分が銀時といた事によって招いてしまった事だと酷く後悔した。それきり大人しくなった天音は再び銀時達の様子をもどかしく見ているしかなかった。そんな天音を見て高杉はフッと笑った後、視線を銀時達のいる下の階へと戻した。