第21章 それぞれが負う傷
『…そういえば、面倒臭いの嫌いって言ってましたよね。私が面倒臭い女になれば嫌いになってくれますよね?』
高杉「……。ククッ、じゃあ試してみるといい、出来るもんならな。」
『!?え、あ、ちょっと…うあっ。』
私がそう言うと少し驚いた様子を見せた。でもそれは一瞬だけでまたいつもの様に戻り、怪しげに笑った後、私は布団の上に押し倒されてしまった。それに加え両手は抑えられて身動きが取れない。振りほどこうとするも男の力に勝てる訳もなく、虚しくも自分の体力が削られて行くだけだった。
『は、離してください!邪魔です!!』
高杉「フッ、そうやって暴れていられるのも今のうちだ。」
『なっ何をっ…ひゃあっ』
必死抵抗をするも何も変わらず、高杉さんは目の前で妖艶に笑ったと思えば私の首筋へと唇が降りてきた。初めての感覚に思わず変な声が出てしまう。
『い、いや…やめっ…!! 』
そして私の着物の隙間に手を入れようとした瞬間だった。部屋の入口が開けられ、驚いた私は扉の方へ視線をむければそこには河上さんが立っていた。
高杉「おいおい、お楽しみ中だぜ?」
河上「すまない。だが白夜叉がもうすぐそこまで来てるでござる。戯れなら後にするでござる。」
高杉「さすがだな。良かったな、お前さんのヒーローはもうすぐそこだ。」
そう言って高杉さんは私を押さえつけていた手を離し、立ち上がっては部屋から出ていった。とにかく助かったと安心した途端私の目からは大量の涙が溢れていた。