第21章 それぞれが負う傷
銀時は階段を登り終え玄関を開け部屋に入る。乱雑に靴を脱ぎ、だるそうに頭を掻きながら部屋の中へと入っていった。銀時の足は迷わず冷蔵庫に向かいその中から取り出しのは勿論大好物のイチゴ牛乳。
銀時「仕事終わりのこの一杯の為に生きてるみたいなもんだよな〜。」
コップに注がずそのまま持ちながら居間へと戻る。一口呑み、ぷはぁっとまるで酒でも呑んだかのように息を吐く。そしてテレビに電源を入れ、ソファーに座ろうとした時だった。机の上に置かれた何やらデコレーションが施された両手に収まるくらいの箱が一つ。それは紛れもなく天音が銀時の為に作ったケーキだった。
銀時「なんだコレ?出てくる時こんなもん机の上にあったか?」
何かと思い銀時はその箱を手にする。そして結ばれた紐を解き蓋を外した。中身を見た時銀時は驚きを隠せずにいた。しばらく目を見開いたまま硬直したが、すぐに我に返りその箱を机に置き戻し勢い良くたちが上がり寝室の襖を開けた。
銀時「おい!天音どこだ!いるんだろ!?」
すぐに天音が作ったものだと理解し、部屋の何処かにいると思った銀時の声は焦り自然と大きくなり、その声は家中に響く。だが虚しくも天音が出てくる事も、声が返ってくる事も無く銀時は酷く混乱した。そして居間に戻ろうとした時、視界の端に儚く光る物が入る。それは天音の手首から外れたブレスレットだった。
銀時「なんだよ、ど、どういう事だ…?」
その場に屈みブレスレットを拾い上げ、何がどうなっているのか必死に頭の中で考えていた。ひとまず落ち着こうとソファーに座ろうとした時、次に目に入ったのは新八が置いた天音宛の手紙だった。
銀時「……っ!意味わかんねぇっ!!」
そして真相を暴こうと、とにかく新八の元へと行こうと家を出ようとした時、玄関の戸にもたれ掛かっている男が一人。それはさっき天音を連れていった河上だった。