第20章 お菓子は目分量で作ってはいけない
天音side…
本日四月十三日、私はあれから万事屋へ帰ることなく新八君とお妙とさん共に過ごした。新八君や神楽ちゃんが銀さんに念を押してくれていた事もあり、ここへ銀さんが来ることも無く、本日無事に明日に向けてのバレンタインのお菓子作りに没頭しようとしている直前だった。しかしやっぱり銀さんが居ないというストレスからか満足に睡眠を取れないでいた私の包丁を握る手元はおぼつかなかった。
『さて…とりあえずチョコ切ってと……!うあっ、いったぁー…』
人は適度な睡眠が必要。本当にそうだ。何時もなら何の問題も無い作業でも、極端に睡眠を取れなくなった途端にこれだ。どれだけ自分が銀さんが居ない環境に対応出来ないか、どれだけ銀さんに想いを寄せているのか、改めて身に染みて感じた。
私は絆創膏を探す為お妙さんが居る部屋へと向かった。
『お妙さん、絆創膏ありますか?』
お妙「え?あるけど、どうしたの?」
『ちょっとぼーっとしてたら指切っちゃって。』
私がそう言うとお妙さんは慌てて私に駆け寄り、血が伝う指を見て絆創膏を探すため部屋から出ていった。すぐに戻ってきたお妙さんは絆創膏を取り出し私の手を掴んだ。
お妙「何してるの?早く貼らないと。」
『えっ、いいですよこれくらい自分で…』
お妙「いいから早く!!」
こんな少しの傷なのに、お妙さんの焦りぶりには驚いた。押しに負け私が手を差し出すと彼女は優しく傷口を絆創膏で覆ってくれた。