第20章 お菓子は目分量で作ってはいけない
今日は十一日。バレンタイン当日まであと三日。すぐだと言えばすぐだが、流石に三日となれば迷惑だろうと天音もダメもとでお願いをしていた。断れれば夜中にでも銀時や神楽が寝静まった後に作ればいいと思っていた。だが天音の予想は外れお妙は快く了承してくれた。
お妙「そんなの大歓迎に決まってるじゃない!どうせ天音ちゃんの事だから、断られるとでも思ったでしょ?」
『うっ…。私ってそんなに分かりやすいですか…。』
お妙「面白いくらいにね。でも何考えてるか分からない人よりいいわよ。」
天音はここまで自分の心の中を見透かされると、流石に自分の行動や性格に少し嫌悪感を抱いた。だが、銀時には何一つ見透かされることが無かったのが唯一の救いだった。天音は銀時に対して散々自分に鈍感等と言っていた割にその本人も鈍感ではないのかと若干思ったりもした。
それから天音はお妙からの質問責めを受け、あたふたしながらも何とか精一杯その質問ひとつひとつ答えていった。時間はあっという間に過ぎ、新八が帰ってくれば三人で晩御飯を作り何とも珍しい面子で食卓を囲んだ。
その日の夜中、初日を覗いたそれ以降はずっと万事屋で、銀時と共に同じ部屋で眠っていた天音は慣れない環境に少しの間眠りに付けなかった。ずっと銀時の事が頭から離れず酷く寂しさを感じていた。
だがそれは銀時も同じで、後悔と寂しさを感じ長い間もがいていた。
『銀さん…。私、寂しいです…。』
銀時「……やっぱアイツが居ねぇと耐えらんねぇわ、俺。」
場所は違えど、天音と銀時はお互いの事を想い、恋焦がれていた。