第20章 お菓子は目分量で作ってはいけない
その頃、天音と新八は容赦なく降り注ぐ雨にもお構い無しでスーパーへと向かっていた。通り行く人は皆、二人を蔑むような目で見ていた。だがまさか雨が降ってくるなど思いもしなかった天音達にとっては仕方の無い事だった。スーパーへ着く頃にはもう搾ればコップ一杯分では済まないであろう程の水分でヒタヒタに服が濡れていた。
『ごめんね新八君、こんな所まで付き合ってもらっちゃって。』
新八「いいんですよ、僕らが勝手に天音さんを追い掛けて来たんですから。それより何を買うんですか?」
『…もうすぐバレンタインでしょ?何か作ろうと思って。』
新八「なるほど!!銀さんもきっと喜びますよ!!」
『クリスマスは何もあげられなかったけど、今回は断られても新八君にも作っちゃうから。』
天音はニカッと笑ってそう言った。新八はその笑顔に一瞬ドキっとし顔を少し赤らめた。そんな新八を見て天音は嬉しそうに笑いながら材料を揃えるためにスーパーの中を歩き回った。
バレンタインと言えばチョコ。だが少し凝った物を作りたいと思いガトーショコラを作る事にした。チョコは勿論、必要な物をポンポン籠の中へ放り込んで行った。
『よし、これでオッケーかな?あとは…』
新八「まだ何か買うんですか?」
『私たちの傘!』
スーパーに来たのだからと傘を探し始める。これで帰りは濡れずに帰れると思った二人だったが、ここまで来ればもう傘があろうが無かろうが、結局びちゃびちゃには変わりはない。