第20章 お菓子は目分量で作ってはいけない
銀時side…
やってしまった。感情に任せておけばこのザマだ。アイツを落とすどころがこれはもう嫌われちまったかな。今頃新撰組にでも行って、多串君に慰めてもらって、そのまま…
「うおあああああああああっ!!ムリムリムリムリ…。」
想像したくない事ばかり浮かんできやがる。俺が悪いのに、あんな酷いこと言って傷付けたのは俺なのに、今更後悔してもおせぇのに。
俺は魂でも抜かれたかのようにソファーに座っていた時だった。玄関が開く音がして、その瞬間俺の足は咄嗟に動き玄関の方へと走っていた。だがそこにいたのは、俺が待ち望んでいた人物では無く…
「……なんだよ、お前かよ。」
神楽「何アルか!!天音ちゃんなら戻って来ないネ。」
「っ!?オイッ、どういう事だ神楽!!」
雨のせいであろう、神楽は服も髪も顔もベタベタだった。何時もならニタニタして何かを企んでいるであろう顔で俺をからかってくるが、今のコイツの表情は恐ろしい程に真剣だった。
神楽「銀ちゃんが悪いアル。私は知らないネ。」
「アイツ何処にいんだ!見つけたんだろ!?」
神楽「天音ちゃんなら新八の所にいるアル。」
居場所が分かれば話は早い。もう遅いかもしれねぇがせめて謝るだけでもと思い、新八の家へと向かおうと足を踏み出した時だった。
神楽「行ってもムダネ。銀ちゃんの顔見たくない言ってたネ。」
…ま、マジでかァァァァァッッ!!
いや、どうすんのこれ?リアルに嫌われちゃった感じ?
え、どうしよう。土方君とくっついちゃうわけ?それとも高杉?
え。え?ムリムリムリムリムリムリムリムリィィィ!!!!
この時俺が一人でもがいている姿を見て、神楽がニタニタ笑っているなんて俺は知る筈も、そんな事を察する余裕も無かった。