第19章 男の嫉妬ほど見苦しいものは無い
銀時のそんな声を初めて聞いた天音はまるで叱られているかのような感情に陥った。それでか表情はシュンとなり戸惑う。お互い知っているのに何故こんな態度なのか皆目検討も付かなかった。
『…銀さん、怒ってるんですか?』
銀時「…怒ってない。」
『…絶対怒ってますよね。声怖いですよ…。』
恐々と銀時に心中を明かすが否定をされ、その否定する声もやはりいつもの声では無かった。天音の言葉に銀時は返答する事は無く、真冬にも関わらず冷たい風邪に打たれながら数分間そのままだった。いくら抱き合っているとはいえ、次第に寒さに体温が下がり身体が震え出す。
『そろそろ中入りませんか?このままじゃ風邪引いちゃいます。』
銀時「………アイツには気をつけろ。」
『…へ?…銀さん達一体どういう関係なんですか…?』
銀時「……さぁな。」
そう言って銀時は高杉との事を打ち明けることは無かった。天音はきっと何か事情があるのだろうと、知りたいとは思ったがそれ以上追求するのは辞めた。
『分かりました。とにかく入りましょ?』
銀時「ん。悪ぃなこんなクソ寒ぃのによ。」
『大丈夫ですよ、さ、早く早く。』
そう言って今度は天音が銀時の腕を掴み家の中へと入って行く。その時銀時の心の中は不安と嫉妬で溢れ返っていた。
部屋に戻れば新八と神楽に不思議そうな顔をされたが、銀時はそんな視線から逃げるようにソファーに座らず黙って寝室に一人で入って行った。