第1章 憂鬱、混乱、そして出逢い
?「それは…一体どういう事だ?」
「私にも分からないです、気が付いたらこの時代に…
原因も何も、何一つ分からないんです。
ただ私が生まれたのは平成という時代なんです。」
そう言う私の話を眉間に皺を寄せて話を聞いていた。
でも、さっきの夢で現世の事を何もかも思い出した私は
どっちみち帰ったところで意味がないと思った。
どうせ居場所なんて無いのだから。
?「わからないって、じゃあ帰り方も分からねぇって事だろ?」
「良いんです、別にこのままでも。
自分がいた時代に、特別未練なんてないですから。」
そうか。と、副長さんはそそれ以上何も聞いてこなかった。
暖かい家族、仲のいい友達、大好きな彼氏、
日常がそれなりに充実していれば、きっとこんな
平然といられる訳なんてないと思った。
帰れなくてもいい。
既にそう思っている私は馬鹿なのだろうか、と
自分でも思うくらいだった。