第1章 憂鬱、混乱、そして出逢い
?「お礼?何の事だ。」
何の事って…。
私を助けてくれたのは貴方なのに。
「私、一条天音って言います。
昼間は助けて頂いて本当にありがとうございます。」
?「その事なら気にしなくていい、俺は当たり前の事をしただけだ。ただ…」
「ただ…?」
副長さんは少し申し訳無さそうに話の続きを口にした。
?「アンタの格好はここらじゃ見かけない格好でな。こんな事を言っちゃ悪いが、身分が分からねぇで病院に連れてく事も出来ねぇってんでここに連れてきたんだ。男ばっかのむさ苦しい所で悪い。」
そう聞いて私は改めて現世からこの時代に
来てしまったんだと実感した。
正直受け入れるには時間は掛かりそうだけど
でもそれは仕方の無いこと、謝られること自体がおかしいよ。
「そんな事ないです、助けて頂いただけでも十分です。
それに私の事を不信に思うのも仕方ないんです。
信じてもらえないと思いますけど、ここが本当に江戸時代なら
私、この時代に生まれた人間じゃないんです。」