第6章 忘れたい物事ほど思い出す
天音「あ、いえ、何でもないです。」
土方「俺を振りに来たか?」
土方はタバコに火をつけ、ひと吹きしてからそう言った。
しかし天音は、そういう話をしに来たわけでもないので、とにかく思った事を口にした。
天音「いえ、そういうのじゃなくてですね…その、この前のは一体何だったのかなと…気になって来ちゃいました。って感じです。ごめんなさい忙しいのに…。」
土方「……怒ってねぇのかよ?」
天音「分からないです。でも怒ってないと言えば嘘になります。」
土方「怒ってんじゃねーか。」
少し辛そうに笑う土方。
天音はそれ以上言葉は何も出てこなかった。
土方「………悪かった。あの時の俺はどうかしてた。」