第73章 ホテルに到着
大野視点
浜地「こちらです」
外に出ると浜ちゃんが近づいてきた。
「うん」
浜ちゃんについて車に近づく。
梵字が浮かぶ布をかぶった黒服の者が車の後部打席の扉の前に立っていた。
その字は ジャニーさん直属の形代(かたしろ)の証字
(ありがたい 『潜り戸』を“人”が通る代わりを用意してくれたんだ)
黒服の人が引き戸をゆっくり開ける。
車の内側の空間がユラユラ揺らめいている。
《橋本!》
《はい》
《どこぉ?》
《戻っております》
《ニノを歩かせたくない 車いすを》
《用意しております》
《よし 今行く》
『潜り戸』に入る。
空間の移動はホンノ一瞬。
足が着地した所は 白に近いアイボリーの廊下。
橋本「おかえりなさいませ」
橋本が頭を下げて迎えてくれる。
「うん いい それより車椅子を!」
片手をあげ 礼を解き 車いすを手招きする。
橋本「はい」
車いすを押しながら 俺の横に立つ。
相葉ちゃんがニノをしっかり支えている状態で出てきた。
「和也」
二人に駆け寄る。
和也の目は、俺を見ているようで見ていない。胸が苦しくなる。
「もう いいから 座れ!」
少し語尾を強めに言う。
ニノの体がガクッと崩れた。
A「わ!」
慌ててニノを支える相葉ちゃん。
S「よぉ!」
後ろからニノの腕を取って踏ん張る翔くん。
「ああ ゴメン ちょっと 早かった?」
ニノを支えている二人に声をかけて急いで、俺も脇に肩を入れる。
S「いや 大丈夫…」
橋本「二宮さんをこちらへ」
車いすを近づける。
S「もう少し…二のぉ ごめんね 少し上げるよ」
翔くんがニノのズボンを掴んで車いすの方に腰を向ける。
S「うん いい」
ニノの体を支えながら車いすとの距離を取る翔くん。
A「だぁ!」
あんまり聞いたことない怒ったような相葉ちゃんの声が
聞こえるけど 今はニノを車いすに乗せるのが先。
「おろすよ」
しゃがみながら、ニノを座らせる。
橋本「はい」
車いすを支える橋本。
車いすに座ったニノは、ぐったりうなだれている。
「ふぅ お疲れ!」
一息吐いて 翔くんに声をかける。
肩で息している翔くんがうんっとうなづく。