第72章 緊急 ホテル帰還
松本視点
S「どこから?」
翔くんが俺たちを追い抜いて浜地さんに話しかける。
浜地「店からは出ます」
浜地さんがニノから離れていく。
浜地さんと翔くんが少し離れて話しながら歩き出した。
誘導者が居なくなったニノの歩くスピードが遅くなる。
(とりあえず 店から出ないとな!)
「このまま 歩いて!」
相葉くんとニノの前に出て声をかける。
少し顔を上げるニノ。
S「ちょくで 部屋?」
翔くんの良く通る声が聞こえる。
声の方を気にしながら歩く。
(大野さんがいるか 俺が何かしなくても ちゃんと翔さんの手綱は持ってるはず…)
店の大きな扉が見えてきた。
(そろそろ 店からでるね… 翔くんも気になるけど…)
「相葉くん そんなに くっ付いたらニノが歩きにくいよ」
周りを見ながら注意する。
生返事の相葉くん。
(心配なのは 分かるし 間合いも取れてるけどぉ)
O「翔くん」
大野さんが静かに翔くんを呼ぶ。
(ひぃぃぃ その声 こぉわぁ)
二人の方を見たいけど 怖くて見えないから 店の出口の扉の方に足を進める。
その扉の前にボーイがこっちを見ていた。
一礼したボーイが扉を開けてくれた。
「ありがとう」
ボーイに声をかけ扉から出る。
店の外に出たが、車がまだ来ていない。
(浜地さんが 移動可能って…)
相葉くんとニノが出てきた。
(あ!来た)
移動車と同じ車種の車がゆっくり目の前に止まる。
止まった車の影から布で顔を隠した黒スーツの人が現れた。
(アレは形代(かたしろ)?あの布はジャニー社長の専属の証じゃないか?)
大野さんと浜地さんがズンズン大股で歩いてきた。
(おお リーダーの顔してる)
車の扉を開ける黒服のスタッフ。
後部座席の引き戸の内側は ユラユラ空間が揺らめいている。
(『潜り戸』で帰るのか…それなら“人”に見られない)
躊躇なく揺らめく空間に大野さんが入っていく。
外にいた黒スーツの形代が一体 消えた。
(で 通行料が 形代ってことね)
「相葉くん ニノと一緒に先乗って!」
相葉くんの背中を押す。
A「いいの?」
「ああ」
A「わかった 先に乗る いこう ニノ」
ニノを支えながら歩き出す相葉くん。