第66章 嵐 コンサート フィナーレ
猴宮視点
近づいてくる 光にもう少しで手が届こうとした時
グッと 後ろに引かれた。
「おろぉ」
襟が首にあたり、おかしな声が出る。
一回転して 着地したのは モモの柔らかな背
モモ≪貴殿は 客であろう 嵐の中に行くで ない≫
顔は見えないが、あきれているような声が聞こえる。
N『 咲いた 名もない花を君に届けよう 』
{我は かずなりの 歌を もっと }
小さく見える 白い衣装のかずなりに手を伸ばす。
今宵は あらしが主役よ
青い衣の精霊が我の周りを飛ぶ。
(先ほどの光は この花の精であったか…)
{そうじゃな あらしのしらべ よいものだ なぁ}
モモ≪よいものだ≫
モモが話しかけてきた。
モモ≪さ! 我が背という 特等席で 存分とたのしめ≫
{特等席 たしかに…}
柔らかなモモの背に顔を埋める。
(あたたかい すこし 休むとするか…)
N『 どうもーありがとうーーー』
かずなりの声が聞こえる。
顔を上げると 会場が手拍子に包まれていた。
チャチャ チャ チャチャ チャ
モモ≪目覚めたか?≫
{うむ}
チャチャ チャ チャチャ チャ
O『 ふぉぉぉぉぉおぉ ふぁあぁい!』』
今世の御仁殿が片手を高くあげ一回転する。
軽快なリズムとメロディーが会場を包み込む。
{この歌は かずなりが 忙しいなか愉快に作った曲でないか!}
モモ≪ボスとよく話していたな…≫
O『へい! 』
両手の指二本を突き出して ものすごい眼力でこちらを見ている今世の御仁殿
今まで あんな目で我を見ることはない。
体中の毛が逆立つ思いだ。
そして“energy”と称して両手を広げ 輝く星を振りまき、クルンっと体を回転までしている。
観客の人には親指と小指を突き上げる。
{モモよ あれは なんの 要求であろう…}
モモ《ボスより 怖いかも…》