第66章 嵐　コンサート　フィナーレ

大野視点

〝season〟のイントロが優しく流れ始めた頃　やっと　落ち着いた

（そう　今は　歌って伝えないと…）


『　頬なでる風に光　』


『　ひらひらと花が舞う頃　』
ソロに乗って　薄衣の飛天が夜空に登っていく。


『　いつでも　いつまでも…　』


飛天たちが　たくさんの虹色に輝く花びらを撒いていく。


（きれいだな…もったいない　くらいだ…）

《　良イナ　》
頭の中に声が聞こえた。


「ぁa」
振り向くと、大きなスクリーンに広がる　今の俺たち写真。


《　若キ　記憶ハ　戻ッタカ　》
頭の中に声が続ける。


「　nagai miti oboete iruyo
　　　長い　道　覚えて　いるよ
　ikokuno daitini misitta mono no nioi…」
　　　異国の　大地に　見知った　もの　匂い



M『どうも　ありがとぉおお！』
　松潤の叫びで〝Bittersweet〟の前奏がはじまる。


　松潤が歩き出す。


「arigatou　ありがとうだね！」
観客の方に体を向きなおし、歩き出す。


N「どうもーありがとうーーー」
　ニノが続いて叫ぶ。


A「ほんと　ありがとうだよ」
　相葉ちゃんが俺の横に並ぶ。


中央ステージに向かう。


Ａ『ありがとう！』
　相葉ちゃんがマイクに声を乗せ　観客に手を振っている。




お菊「和也様ぁ」
Ｎ「後でね」
お菊「きゃぁぁ」
ニノとお菊の会話が背中側から聞こえてきた。


（おいおい　リアルの声でお菊ちゃんと話すなよ）


『　夢の中で　』
歌いだしたものの　周りを確認する。

　案の定　松潤がコンサート中なのに　鋭い目でニノを見ていた。

（はいはい　こっちおいで　ファンの前ね～）

『　君と笑えるなら　』
歌いながら　松潤を回収しようと手を広げる。

　松潤は少し口角を上げ俺の肩に自分の手を伸ばしてきた。


『　ありのままを　』
肩を踏んだまま歌う。

Ｍ『　 伝えたくて　』
　松潤も普通に歌いだす。


　観客から　歓声が上がった



『　分からなくて　』
急に松潤が抱き寄せる。

　歌っている松潤の目が小さい子のように笑う。

（かわいい）
『　ただ君だけを　』

Ｍ『　見つめてた　』
　松潤がほほを寄せてきた。

（こら！）
腰に回した手をグーにした。