第65章 嵐から 挨拶
大野視点
『 皆さん、本日は 本当にどうもありがとうございました 』
頭を下げる。
≪よい よい 心 躍る≫
人の拍手と歓声と 同じくらい“声”も聞こえてきた。
『 いや もう…
ここにヘリコプターで飛んできた時から もう 感動してましたけど
でも その感動も通り越して、もうわけわかんないっす 』
会場から笑いがおこる。
(よし うけた)
『 でも 本当に
ハワイに着いて、昨日とか夜一人でベランダに出て、浸っていました。
本当、15年前のあの時の僕を、まぁあまり覚えていませんが… 』
目の前の沢山の子鬼や笑顔で見上げている。
『 その中でも、いろいろ少しでも記憶に残っていることを思い出して、
当時の その時の まだ わけがわからなかったけど モヤモヤしていた気持ちとか、すごい思い出しました
でも… 』
走馬燈のように溢れてくる記憶に飲み込まれそうになって、言葉に詰まる。
《シッカリ 語レ》
頭の中に声が聞こえた。
額に手を持って行く
(ああ…分かっている…
でもな。声が出ないんだ… 気持ちが 言葉を紡げないくらい いっぱいで…)
目を床に向ける。
足元に俺の子鬼たちがたくさんの眷属たちと手を繋いで踊り出した。
{サトシ サトシ サトシ}
〝嵐〟を支える、それぞれの眷属たちが様々な声を重ねて、人の器の名を呼ぶ。
手を合わせ俺を気持ちを体で表す。
(お前たち…)
口角があげ
『 ァっ
15年経って、その時のモヤモヤの気持ちだったり、
葛藤は 今は正直 ありません!
でも 本当に、メンバーのみんなだったり、スタッフさんだったり、 マネージャーだったり
そして 何よりも15年支えてくれた 皆さんの“おかげ”だと思っています 』
会場から大きな拍手がおこる。
(ありがとう…ほんとうに…ありがとう)
『 これからも、16年目 からも、ともに 共に人生歩んでいきましょう。
ありがとうございました 』
深々と頭を下げた。