第9章 これはナイミツなんだよ
櫻井視点
「お待たせしました」
(誰だよ!こんな朝早く!!)
誰からかわからない電話に話しかける。
『モーニー マイダーリーーン』
耳障りな甲高い声が聞こえてきた。
(マジか…)
側にまだ 智くんの気配を感じるから、声が聞こえないように体を丸くする。
(なんで この携帯に…)
「おはようございます 御気分はいかがですか?」
『そうねぇ まぁまぁ気分よ』
(昨日さんざん機嫌取りしただろ…あれじゃ足りねーのかよ)
毒つく心の声を飲み込んで「どうされましたか?」と聞く。
『たまには地に足を下ろすのもよいと思うの だから 貴方もゆっくり遊んで チャオ』
一方的に通話が切れた。
(なんなんだ この会話!)
言い様の無い心の叫びを携帯のディスプレイを睨み付ける。
(それに 何が『ゆっくり遊んで』だぁ これも仕事なんだよ!!)
側にあった紙コップをクシャッと潰す。
(はー 胸糞が悪い)
これでもかっという位、小さく潰して紙コップを捨てる。
(ふう
せっかくの智くんとの貴重な二人きりの時間を、邪魔されて…
物にあたるって…俺もまだまだ 子供だなぁ)
気持ちを落ち着かせ、周りを見る。
(ゴミ 片づけてから行こうか…)
コーヒーメーカーの周りに散らばるゴミたちを集めてゴミ箱に入れる。
(シロップ…こんなに使ったかな?
俺のと智くんのと… ああ 智くん追加したから…でも…多くねぇかぁ?
もしかして…みんなのにも入れちゃったかなぁ…でも 指摘なかったしなぁ…)
予期せぬ電話で、さっきまでの自分の行動がイマイチ確証がもてない。
(とりあえです みんなの所帰ろう)
キッチンを出ると、四人がテーブルの所で立って話している。
「なになに みんな 立ち上がってどうしたの?」
駆け寄って四人を確認する。
M「んー ちょっとね」
潤がニヤつきながら反応してくれる。
(お前が笑ってるって事は、仕事には支障がないことね)
N「ちょっとじゃないですよ!だいぶ甘い!!」
和也の不機嫌な声。
「え!甘い!」
(じゃ あれを入れたんだ…「にの ごめん」謝るしか ないよ…)