第59章 1日目 《MC》 4
二宮視点
マイクを口から放し、小さく息をはく。
S「大丈夫そうだね」
翔さんの優しい声。
「ええ 誰かさんが側に居る影響でしょうね」
翔さんの方じゃない方を目を向ける。
S「そっ そうなんだね はは」
目の前に あの木箱が並ぶステージがある。
(ああ…やっと 着いた…)
リハでは、そんなに時間がかからなかった移動の道が終わる。
(だいぶ 時間押した…どっかで巻かないと…)
ステージの方から大野さんと相葉さんがくる。
O「準備出来てるみたいだよ」
S「了解」
大野さんと翔さんが短い言葉を交わしている。
(相葉さん そんなに私を見ないでくださいよ 穴が開きそう
もう ちゃんと 声に出したらいいのに…
はい 時間切れ!!)
相葉さんの横を通りすぎて
暗くなった海に、夕陽の残照で、ヤシの木が影絵のように浮かびあがり ハワイのムード満点演出を
『すごいや、コレ!!』って感想を言ってだいぶ 押してしまったコンサート進行を進める。
M『そうでしょ!! みんなと共有したかったんだ!』
潤くんが話しかけてきた。
『いいねー』
(ああ 直ぐ始めるんだね ん…)
木箱に座りたいけど なかなか 体の納まりが悪い。
(お菊 離れて…)
{嫌です}
俺たちが座っている間に 伴奏をお願いした人たちがスタンバイしている。
M『ちょっと 10周年までの…うん』
潤くんが後半戦に向けて話し始めた。
(始まるから…)
{いつも お傍に…}
背後の気配が内に入って来る。
(同化?おい お菊?)
胸に手を持って行く。
M『ここからは 今日の感謝の気持ちを込めて 曲をお届けしたいと思います!』
潤くんが周りを見回すと、後半戦の音響スタッフ達が手を上げた。
(ぁ゛んぅ もぉ 後回しだ)
M『それでは! 後半戦も 楽しんで行ってください
まずは この曲から One, two, three, four.』
ウクレレがリズムを取り始める
スティールパン が ハワイ感を醸し出す。