第49章 嵐 コンサート 起動!!
浜地視点
宮{おお ハマジ 見て見よ 鉄船が飛んできたぞ}
キラキラした瞳で ヘリコプターを指さす。
≪嵐の輿でございます≫
宮{嵐の輿は 飛ぶ鉄船か…}
嵐が舞台に上がると人々の歓声で空間が高揚する。
宮{良い気分じゃ!}
胡坐を組んだまま浮遊している。
≪宮様 お座りくださいませ≫
溝渕≪本日は 嵐の宴にようこそ
槿の花の御子 猴宮様 お傍番を拝命しました藤渕です≫
桟敷の縁に立って 恭しく頭をさげた藤渕チーフ。
宮{ぶっち 気でも ふれたか}
怪訝そうな顔でチーフの方を向く宮さま。
(護衛?何かあったのでしょうか…)
N{ようこそ! 嵐でーす}
二宮さんが“声”が歌唱の間に聞こえてきた。
(二宮さん!力を併用するとお体に負担に…)
宮{カズナリぃぃ}
いきなり声をあげ、飛んでいこうとする宮様
≪宮様!!≫
慌てた宮様の衣を掴む。
桟敷と下界の間でアタフタしている私たちを見つけた二宮さんが「ははははは」と大きな声を出してステージに膝をついて笑い始めた。
(笑いごとですか)
抗議したいのは山々だが 観客の人に気づかれないようにもがく。
藤渕チーフが御簾で私たちを隠してくださった。
藤渕≪邪魔をしてどうするんですか?≫
御簾の中で怒るチーフと口を尖らせる宮様。
≪ああ すみません 私がついていながら…≫
藤渕≪たのむぞ≫
ふうと息を整え御簾を畳む
≪はい(すみません)ささ 宮様 人の気は酔います こちらへ≫
桟敷間に誘導する。
宮{うむ…}
素直に席に戻る宮様
ここ ハワイにきて 日に日に お姿が幼くなり 言動も厄介になっている
決して口にも顔にも出してはいけないが、現実的に御隠れのその時が近いのであろう
桟敷席と桟敷席の間に直立する藤渕チーフ。
口を尖らしたままの宮様。
(犬養さんが心配されるような由々しき事態を避けなければ…)
≪茶湯を用意してまいります≫
急いでその場を離れる。