第1章 ハワイの朝
二宮視点
日出が、朝日となり、すがすがしい朝へと変わって行く頃
ホテルの屋上のさらに上の〝雲〟の上で、
ハワイの蒼い空と碧い海の間から出てくる太陽をただただ見ていた。
スルスルと俺の体を昇ってくる暖かい者。
意識体の俺にとって、その感触は‘お嬢’達しかない。
≪もう 起きなきゃダメ…?≫
お嬢は返事の代わりに俺の頬に、ふあふあな頬をすり付ける。
そっとお嬢の体をさわって、雲から飛び降りる。
途中 車から降りるマー君を見かけた。
マー君の後ろに折りたたみ自転車を持っている本郷君もいる。
(走ってきたの…かな?)
本郷君が口を押えて見上げてきた。
(わ!コッチに気づきやがった!!)
{和也様。雅紀様が襲来するかもしれませんね}
首に巻き付いているお嬢が耳打ちする。
≪それは、嫌だな…≫
{雅紀様の高いテンションを、潤様の低いテンションにぶつけるのは?}
クスクス笑いながらお嬢が言う。
≪それ!良いね!!マジきたら採用しよ♪≫
ホテルの俺の器の上に帰って来た。
何の抵抗もなく自分の器の中に飛び込む。
そして、目を開ける。
枕と布団の間から見える窓がまぶしい。
(直視はまだ無理…)
ゴソゴソ体を起こして ボーっと部屋の中を見る。
ズゥゥ ズゥゥ
携帯のバイブ音が部屋に広がる。
テーブルの上に置いてあった携帯を開けると一斉メールが一件入っている。
(こんな時間に一斉?)
“本日のタイムスケジュール貰いました。
集合時間9時までに一度 目を通すなら 俺の部屋に来て
櫻井 ”
(なんだ 業務連絡か…)
携帯をベッドにポンと投げ、パジャマ代わりに来ていたロングTシャツの裾を持つ。
{翔様のお傍に行かれるのですか?}
「ここに一人でいるのもなんだし…する事ないし…マーくんが襲来させると 困るし…」
{では、お嬢は雅紀様のお傍に戻ります…しばらくは…お話も難しいですね…}
少し寂しそうに笑うお嬢。