第44章 通しリハ
二宮視点
“Love so sweet”のイントロが流れだした。
S「そうか 中盤も頑張ろうな」
トントンっと良い音立てて階段を登っていく翔さん。
「もちろんですよ」
翔さんの背中を追っかけながら返事をした。
ステージに出ると、今までの空よりは色が薄くなっていた。
(よし!天候は回復したね)
空を確認して、意識をステージ向こうに向けると、潤くんがステージ真正面でこっちを睨んでいる。
(わっ 凄い眼力…怒ってる?)
「Wow Wow … Yeah Yeah 」
相葉さんや大野さんのパートを歌って、潤くんの痛い視線から逃げる。
O『 輝いたのは…』
大野さんが歌い始める。
M いまリハ中 あんま動くなよ
頭の中に潤くんの声が響く。
(風の…余計だったか…)
M おい 聞こえてるんだろ?
頭の中の潤くんの声に棘がでる。
はい…聞こえてますよ…
直ぐに返事を返す。
(やばいな… マジで苛立たせちゃったぁ)
テレパシーで会話していると、歌いながらこっちを見ている大野さんを目が合った。
(わぁ… こっち見てるし)
大野さんはニコッと笑って歌いながら 階段を降りる。
(ひぇ 笑ったよ… こぉわ 集中集中!)
〝Oh!Yeah !〟エレキギターのイントロが聞こえてきた。
M『 噴射! 』
潤くんの合図が飛ぶと同時にウォーターロケットが一斉に噴射。
小走りにムービングステージに向かう。
『 両手 高く上げて このホシを支えて 歌った僕ら 』
上げた片手の向こうに大きな夕日が見える。
(きれいな夕日…本番も見たい…)
S『 同じ ミチ 選ぶだろう 』
A『 一つになれ 舞い上がれ 』
手を振り合う二人。
(ファンサービスも予行ですか? 良い心がけですねぇ~)
『 もう一度 あの日に戻るとしても 』
A「にの!」
後ろから相葉さんの声。
(なに?)
反射的に振り向く。
A「みて…すごい!」
綺麗な夕日を指さす笑顔の相葉さん。
「うん。みた。すごいね」
太陽を指さす。
A「ねぇ!」
少し体を揺らして離れていく相葉さん。
「え?それだけ?」
A「うん そんだけ!」
満足そうに笑って離れていった。